第2章 【霧の町】

8/36
前へ
/167ページ
次へ
「もしかしたら、今晩、運悪くその船が原因不明の爆発を起こすかもしれないんだが、どーする?」 「オレがやるか処理班がやるかって? 別にどっちでもいいよ。あんたの好きにしたらいい。興味ないし」 「……あいつを殺すか、生かしてやるかの質問だったんだが……まぁいい。ではこちらで「処理」させてもらおう」 それから、と、サリヴァンは続ける。 「例の魔導師はどうする?言っておくが魔法関係はこちらでは対処しきれんぞ。その上、随分ヤバそうな奴らしいからな。 いなくなる男の依頼だ。受けなくてもいいだろ」 「それなんだけどさぁ、そいつオレより強いの?今日の取引のこと知ってたんだから、その魔導師についても調べたんでしょ?」 「一応、我が社の顧客情報を調べてみたが、その魔導師に関する資料はどこにも見当たらなかった。国籍も戸籍も一切不明だ。イストルランドの禁書書庫にでも入れば、少しは分かるだろうが……なんだ、気になるのか」 「ふぅーん……」 「…………なんだ」 「べつに…………」 「…………。」 「…………。」 「…………お、おい。念のため言っておくが、イストルランドの警備は厳重だ。特に禁書書庫は兵士長であっても入るのが禁止されているんだぞ。うちの社員が何人バレて殺されてるかてめーは知らんだろうが!」 「へぇー、大変だね。ガンバッテ!」 「……~ッ!!」 「さぁ、お仕事頑張らなきゃね、レイヴン商会随一の敏腕サポーターさん」 「いつか殺してやる」 「ははっ、奇遇だねオレも同じ意見。生きて帰ってこれたらの話だけどね」 サリヴァンは、手元のグラスをぐいと飲み干した。 「…………ッたく、次の決算が終わったら、別の奴と組むからな」 「じゃあオレには可愛い女の子サポートにつけてね。そうしたら、むしろオレが色々とサポートしてあげようかな」 「黙ってろ」
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加