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「あのさ、気付いてたと思うケド、オレ城の中でチェルシーのこと見てたんだぜ」
「元より貴様なぞ頭数には入っておらん。これは俺の責任だ」
さらっとヒドイ事を言うか。
「旅をするからには、それなりの危険を伴う。今後は更に慎重にならねばなるまいが」
「いや、それならあんたが一緒に行動すればいいだろ」
「そうか…………なるほどな」
何がなるほどなのか、魔導師は納得したように数回頷いた。
もしかしたら、別の意味でもかなりおかしい男なのかも。
「言っとくケド、オレはあんたと仲良くする気なんかないよ」
オレの言葉には返事をせずに、魔導師は、薬草がゴチャゴチャ入ったお椀を啜った。
さっきのフルコースを全部混ぜたらしい。
オレの方は、毛をむしり終わった手羽を剣に刺してから火にかざした。できれば串にでも通せばいいんだけど、あいにく人間の胴体ほどの大きさの肉を刺せるような串は持ち合わせていない。
大振りの身体だったので心配したけど、羽の辺りは結構おいしそうだ。
「いずれ戦わせるべきとは考えていたが、まさかこのような事態に陥るとは」
魔導師がぶつぶつ呟いている。
多分独り言だろうけど、残念なことにオレは物凄く耳がいい。
オレが聞いてるなんて思いもしないんだろう。魔導師は愚痴を続けていた。
「…………いっそ森から出させねば良かった…………チッ、くそ忌々しい勇者め…………」
勇者?
勇者……リーガル?
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