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「……ッ!!」
突然激しい頭痛がした。
脳みその奥が揺さぶられるようにぐわんぐわんと揺れて。
「だからそのようなゲテモノを食すなと」
思わず頭を抱えていたら、勘違いした魔導師が、ため息混じりに呟いていた。
眼帯の奥、傷口が裂けるように痛い。
こんなのは、今までなかったコトだ。
幸い、頭痛自体はすぐに治まった。
むしろ、さっきのは何だったんだと思うくらい、頭の中がすっきりしている。
「…………あぁ、そだね」
勇者リーガル。
何だったか、その単語をどこかで聞いたような気がした。
たぶんそれは、オレが忘れている記憶に関係あるんだろう。
でも、やっぱり思い出せない。お陰で、食欲もどこかへ行ってしまったみたいだった。
オレはグリフィンの手羽先を諦め、魔導師に向き直った。
「あんたとの取り引きのコトだけど……」
魔導師が見つめ返してくる。
あいにくだが、オレには男と無言で見つめあう趣味はない。
恨みもないケド、こいつの運の悪かったところは、犯罪者として、イストルランドから多額の報酬金が出ているコトだ。
あのお節介がいちいち報酬金について調べてくれたおかげで、こいつを売らなきゃいけなくなった。
あー…………くそ。
めんどくさいから、全部あいつに丸投げしてやろう。
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