第2章 【霧の町】

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「おっ……と、」 薬草店の看板がぶら下がった建物から、不意に誰かが飛び出してきた。 ぶつかる直前に後方へ避け、ジェイは石畳につまづき転びそうになっている相手の肩を掴んだ。 口の開いた大きな紙袋を両手で抱き、肘にもいくつかの袋をぶら下げていたその少女は、慌てたように数歩後ずさってから、ぺこりと頭を下げた。 「あッ、すいま」 ザザー。 紙袋の中に入っていた薬草の束が、一気に石畳の上を舞う。 「きゃ!やだ」 ガシャン! ガシャン! ガシャッ! 薬草を拾おうと手を伸ばした途端、肘にぶら下げていた袋が一斉に滑り落ちた。 中の壺か瓶が割れるような音がして、石畳の上が、様々な粉末や液体まみれになる。 「わわっ」 すてーん。 袋を拾い上げようと足を出した少女は薬草の山を踏み、そのまま盛大にスッ転んだ。 水色だ、悪くない。 不謹慎な事を考えながら、ジェイは苦笑いをした。 「…………いったぁ」 強打した頭を抱え、少女は瞳を潤ませている。 「またやっちゃった……」 泣きそうな声色でそう呟いた少女は、ジェイが哀れみの視線を向けていることに気付き、そこで慌ててスカートを押さえた。 「あっ……あの……」 気まずい沈黙が流れる。 「えっと……大丈夫だよ。霧出てるし」 ジェイが言って手を差し出すと、それを聞いた少女は安堵の溜め息を漏らした。

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