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「恭介、弁当食えよ。休み時間なくなっちゃうよ」
「あー、そうだな」
怠い身体を机から起こし、俺も弁当を広げる。とりあえず腹を満たしておかなければ。授業中の静まり返った教室に、腹の音を響かせるわけにはいかない。
「翔太は昔から暑さに強いよな。俺は駄目だわ。冬の方がいいな」
「まぁねー。俺は夏好きだし。てか、恭介は髪切れよ。ついでに染めちゃえば?俺みたいに」
「髪かぁ。確かにちょっと長いか」
前髪を指でつまんだ。邪魔なほどは伸びてなくとも、首元や顔にかかる髪の毛は汗で張り付いて気持ち悪い。染める気はないが、翔太くらいサッパリさせるのはいいかもしれない。
「あー、でもお前が俺くらいサッパリ短いと似合わねーな!てかその目つきの悪さが目立つからナシ!!恭介はそのままが1番!!」
前言撤回。絶対に切らない。俺は爽やかな笑顔の前に立てられた親指をへし折りたい衝動を抑え、弁当を食べ始めた。
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