1人が本棚に入れています
本棚に追加
ーーーー
「あー、やっと終わった…」
今日の授業を全て終え、背伸びをする。太陽の光を浴びすぎたのか、身体が怠い。
重たい身体で立ち上がり、教壇前の席で伸びている翔太の元へ向かう。
「おい、翔太。早く用意しろ。千夏と奈美が来るぞ」
「頭…教科書…すごく痛かった…」
後頭部をさする翔太の目は涙目だった。あれだけいびきをかいていれば当然の痛みである。
「運が悪かったな、お互い」
「本当だよ。俺が先生の真ん前の席だからって寝ないとでも思ってんのかよ。だいたい…」
「恭介ー!!!ゲーセン行くぞー!!!」
「うっ…」
翔太の話を遮り、俺にタックルをかましてきた女。佐伯奈実だ。
見た目はショート髪が似合うボーイッシュな女の子だが、性格までなかなかのボーイっぷりだ。
「早く早く!もう朝からこれだけが楽しみだったんだから!!!」
「ちょ、わかったから。今太陽に体力吸われた後だから、もう少しテンション下げて」
「なんだぁ?こんな暑さでバテてんのか?なっさけないなぁ!つーか、翔太はなんでこんなところで伸びてるわけ?」
寝たふりをきめこんでいる翔太の背中を奈実はバシバシと叩く。
「今日俺たちのクラス席替えで」
そう言って視線を翔太の方にもっていくと、奈実は全てを悟ったようで吹き出した。
「ぎゃっはは!!!翔太がここの席とかウケるー!留年待った無しだな!あははははっ!!!」
「ちょっと奈実、笑い方が女の子じゃないよ」
腹を抱えて笑う奈実の後ろから千夏が声をかける。だぁって面白いんだもん~と言いながら涙を拭う奈実を、俺は見下ろすことしか出来なかった。
最初のコメントを投稿しよう!