オーぷニンぐ

5/15
前へ
/23ページ
次へ
ーーーー 「あー、やっと終わった…」 今日の授業を全て終え、背伸びをする。太陽の光を浴びすぎたのか、身体が怠い。 重たい身体で立ち上がり、教壇前の席で伸びている翔太の元へ向かう。 「おい、翔太。早く用意しろ。千夏と奈美が来るぞ」 「頭…教科書…すごく痛かった…」 後頭部をさする翔太の目は涙目だった。あれだけいびきをかいていれば当然の痛みである。 「運が悪かったな、お互い」 「本当だよ。俺が先生の真ん前の席だからって寝ないとでも思ってんのかよ。だいたい…」 「恭介ー!!!ゲーセン行くぞー!!!」 「うっ…」 翔太の話を遮り、俺にタックルをかましてきた女。佐伯奈実だ。 見た目はショート髪が似合うボーイッシュな女の子だが、性格までなかなかのボーイっぷりだ。 「早く早く!もう朝からこれだけが楽しみだったんだから!!!」 「ちょ、わかったから。今太陽に体力吸われた後だから、もう少しテンション下げて」 「なんだぁ?こんな暑さでバテてんのか?なっさけないなぁ!つーか、翔太はなんでこんなところで伸びてるわけ?」 寝たふりをきめこんでいる翔太の背中を奈実はバシバシと叩く。 「今日俺たちのクラス席替えで」 そう言って視線を翔太の方にもっていくと、奈実は全てを悟ったようで吹き出した。 「ぎゃっはは!!!翔太がここの席とかウケるー!留年待った無しだな!あははははっ!!!」 「ちょっと奈実、笑い方が女の子じゃないよ」 腹を抱えて笑う奈実の後ろから千夏が声をかける。だぁって面白いんだもん~と言いながら涙を拭う奈実を、俺は見下ろすことしか出来なかった。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加