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「あァッ??うぁ……ガっ??」
なに!?
声が聞こえなくなったと同時に、視界が開けた。
目の全体がピクピクと痙攣している。瞼を閉じたくても閉じることが出来ない。
「先生!家族の方との連絡が取れました!先せっ……」
ヒッ、と小さな悲鳴が聞こえた。尻餅をつく看護師の引きつった顔が見える。
「どうした!?」
白衣を着た男性が看護師に駆け寄る。
「目………目が………」
看護師は震えながら私を指さす。
白衣の男性はその指差された先をみて、目を見開いた。
「君!!なにがあった!?なんでそんな目に……」
男性の言葉を聞き終える前に、私の上半身がものすごい勢で起き上がる。私の意志ではない。そのままベッドから飛び出し、走り出した。
「ちょっと!待ちなさい!」
後ろから聞こえた言葉を置き去りにし、私はどこかへ向かって走り続けた。
気力も体力もない。なのに私の身体は走り続ける。訳がわからなかった。
意識が遠のく。目は開いているのに、視界は徐々に狭まっていく。
ふと、ガラスに映った自分の姿を見た。
ボロボロになった手足、痩せこけた顔。
ボサボサの髪の奥からは、緑色に輝く不気味な目玉が覗いていた。
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