有紗と桜子

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「えぇ。彼女はそれで何がしたいかって聞いてきた」 彼女は笑っていた 「田中さんは、有紗ちゃんと悠真さんが付き合っていることを知ったのは卒業する頃だったと思います」 里菜はあの頃のことを思い出していた 「あなたの言うとおりよ。あの堂本くんと付き合うのは納得したわ。彼女は芯が強くて美しいもの」 「で、田中は今まで世界にいたんだろ?」 悠真は桜子に聞いた 「実は、あたし益山の海外事業部なのよ。それで、ニューヨークとロンドンとモスクワに行ってた」 「で、日本に戻ってきたのか?」 「日本には一時帰国よ。1ヶ月休みもらったから帰国したの。でも疲れすぎててこのザマね」 「そうなんだ」 「海外事業部に引き抜いたのは奥様よ。あの家族面白いわね。そのあと、小川さんが益山の娘だって知ったもの」 そして桜子があるものを悠真に渡した 「これは?」 「彼女に返しておいて。彼女の大切なものだから」 有紗の大切なもの? 里菜はそれを見て笑った 「それ、有紗はあなたに渡したんだと思いますよ。あなたの成功を願って」 「いいえ、彼女に返すわ」 桜子は微笑んだ
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