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「有紗さまは、益山の宝でございます。有紗さまがおられなければ、先代の百合子さまで私は益山と縁を切っておりました。しかし、有紗さまがお生まれになられて晴一さまより、有紗さま付きの侍女になるように言われ、お側におりました。皆さまも知っての通り有紗さまは、庶民らしさを知っているお嬢様でございます。そのお嬢様と一緒にどうかこの旅館でごゆるりとお過ごしくださいませ」
そういって陽子さんは退出しようとしたが有紗が止めた
「陽子」
「はいお嬢様」
「ここの支配人に部屋の清掃も食事も従業員も素晴らしいと伝えて。それから、あなたの着物も素敵よ」
「ありがたき幸せでございます。ではこれにて私は下がらせていただきます。皆さまもごゆるりとお過ごしくださいませ」
そう言って女将は去った
「有紗ってほんとにお嬢様なのね」
「だから実家がめんどくさくてあんまり帰らないのよねー」
その言葉に俺はなんとなくわかる気がした
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