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従業員に案内をされて個室に入る
そこにいた女性を見てどこかで聞いたことのある名前の理由がわかった
高校の卒業生だ
「今日はありがとうございます」
由希子は笑った
「来てくれたんだ」
「兄に聞きました。プロジェクトを実施させていただけると」
「ええ。条件付きで」
あたしはどんな条件なのかは聞いていない。おそらく、あたしかお兄ちゃんに不利なことだと思う
「ねぇ、どうしてあたしが条件付きで提案したと思う?それはあなたが高校の後輩だからよ」
「…」
「そうね。条件を言ってなかったわね。あたしの弟と結婚すること」
「兄は何と?」
「湊さんには言ってないわ。この条件を出すと白紙のままでいいって言うのがわかっていたから」
どうすることもできない
「しばらく考えさせてください」
立ち上がった瞬間、由希子は笑った
「元々、あたしから堂本くんを奪ったのはあなたよ」
知らないそんなこと
「洸からあなたを取ったのも堂本くんだもんね」
あたしはなにも言わずに店を出た
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