とある休日

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「こんにちはー!」 「いらっしゃい、ゆずるちゃん」 「…外寒かっただろ、早く入れ」 「お邪魔しまーす!」 「授業中にノート写しきれなかったからってわざわざ凜に見せてもらいにくるなんて、ゆずるちゃんも真面目だねえ」 「お前が不真面目すぎんだろ」 「流石にそれはしておかないと、後々痛い目見るから…」 「そうじゃなくても痛い目見てんだろ」 「うっ…テスト前になったらまたお世話になります!」 「……仕方ねえな」 「凜も随分ゆずるちゃんに甘くなったよねえ。転校してきたばかりの頃とは大違い」 「っ、うるせえ」 「ノート写させてもらうついでに、もう一つ目的があって!」 「へえ、なに?」 「あとのお楽しみ!あ、これ一緒に食べよ!」 「中華まんだ」 「わざわざ買ってきたのか」 「なんか無性に食べたくなっちゃって…はい、真尋くんどうぞ!」 「ありがと」 「気遣わせて悪かったな」 「そんなんじゃないよ、一人で食べるより三人で食べたほうが美味しいし!はい、凜くんもどうぞ!」 「……ん。」 「照れてないで素直にお礼くらい言えばいいのに」 「っ、照れてねえよ!ありがと、な」 「えへへ、どういたしまして!冷めないうちに食べてっ」 「お前は……ああ、そういや猫舌だったな」 「うん、熱々は危険なのです」 「猫舌は大変だねえ。……はい、ゆずるちゃん」 「……ん」 「へ?二人ともなんで中華まん差し出して…」 「半分こ」 「半分やる」 「え…」 「三人で食べたほうが美味しいんでしょ?」 「少し冷ましたから、一緒に食えるだろ」 「っ!」 「まさか凜と思考が被るなんてね」 「うるせえ」 「そんなことまで気にしてくれるなんて、本当に二人とも優しすぎだよ…」 「っ、別に大したことしてねえだろ」 「そうそう。ほら、早く食べよ」 「ありがと…いただきます!」 「……美味いな」 「冬に食べる中華まんは別格だよねえ」 「幸せ…」 「ゆずるちゃん、両手に中華まん持って食いしん坊みたい」 「……食いしん坊でいいもん、二人の優しさ噛み締めるからっ」 「あ、拗ねちゃった」 「お前が水差すようなこと言うからだろ」 「ごめん、可愛いって意味だよ」 「も、もう!また真尋くんはすぐにそういう事言うんだから!」 「思ったこと素直に口に出しただけだけど?」 「お…女の子に対して軽々しく可愛いなんて言っちゃいけません!」 「僕、ゆずるちゃんだけにしか可愛いなんて言ったことないよ」 「っ……!!」 「あはは、真っ赤になっちゃって。ほーんと可愛い。ねえ?凜もそう思わない?」 「っ、うるせえ。俺に振るな」
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