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「それで、どこがおかしいかな?」
「まずはじめに。さっきも言ったけど、ゆずるちゃんは今日転校してきたばかりだよね?何でいきなり告白してるの?」
「凜くんに一目惚れしたからです。容姿といい話し方といい、私の心にクリーンヒッ、」
「まあ一目惚れならいいんだけど」
「よくねえだろ」
「最後まで言わせ……すみませんでした、続けて下さい」
「うん。でさ、付き合い前提に結婚って言うのもおかしいよね」
「どこが?」
「まず付き合ってもいないし、順序逆だし」
「そんなことないよ!ほら、結婚してからがスタートでしょ?」
「ふざけんな」
「で、極めつけは告白のシチュエーション」
「何かおかしいところがあったかな?」
「おかしいところだらけだよね。まずここ男子トイレの前だし、僕のいる前で告白するし」
「じゃあ帰ってください」
「死にたいの?」
「すみませんでした」
「バカはほっといてさっさと帰るぞ」
「凜も何帰ろうとしてるの、今から授業だよ?」
「サボる、ウザい」
「じゃあ私も凜くんとサボる!」
「何でだよ、意味わかんねーよ。お前がウザいっつってんだろーが」
「真尋くん、ウザいって。可哀想に…」
「…僕、こう見えて割と腕力あるんだ。そこの壁にめり込んでくる?」
「ご遠慮させて頂きます」
「ていうか君、転校初日からサボるなんてすごい度胸してるね」
「だって凜くんと一緒だし。地の果てまでついていくよ!」
「うぜえ黙れ死ね」
「もうそんな照れなくたっていいじゃない!」
「オイ真尋、こいつ日本語通じねえ」
「逃げようか」
「あっ、待ってよ凜くん!」
「うるせえ!つか、ついてくんじゃねぇよ!」
「ゆずるちゃん、ここ男子トイレだから!」
その日、男子トイレから数名の男子の悲鳴が響き渡りました。
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