今日から厄日

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「凜くん凜くん!」 「うぜえ黙れ」 「まだ何も言ってないよ!」 「つか、昨日から何気安く名前で呼んでやがる」 「いいじゃない、名前くらい」 「そうだよ!だから私のこともゆずるちゃんって呼んでね!」 「よくねえし誰が呼ぶか変態」 「変態!?いくら何でも酷いよ!」 「昨日男子トイレに乗り込んできたじゃない。あれを変態と言わずになんて呼ぶの?あの場にいた男子全員、お婿に行けないって泣いてたよ」 「たかが男子トイレじゃん、最近の男子って柔だなあ」 「お前の頭どうなってんだ、スポンジでもつまってんのか」 「もう凜くんってば、相変わらず素敵なんだから!」 「何でこいつ日本語通じねえんだ」 「そうだね、簡単に言えばバカだからじゃない?」 「……腹黒め」 「ゆずるちゃん、よく聞こえなかったんだけど何か言った?」 「とんでもございません」 「ふうん、まあいいけど。ところで凜に何か用があったんじゃないの?」 「うん、あのね。教科書忘れちゃって」 「その後のセリフが容易に想像つくんだけど…ていうか、転校二日目で教科書忘れるとかすごいね」 「そんなわけで凜くん、教科書見せて!」 「ふざけんな帰れ。つか、右隣の奴に見せてもらえ」 「私の右隣、壁なんだよ」 「……壁って誰のことかな?」 「ひぃっ!と、とにかく見せて下さい!」 「誰が見せるか、教師にでも借りろ」 「ああ、確かにあの先生なら予備持ってるよね」 「授業始めるぞー。」 「あ、ほら来たよ」 「月島に神川、篠崎…だったな。お前ら何してんだ」 「先生、私教科書忘れちゃったんで、凜……月島くんに見せてもらってもいいですか?」 「お前転校してきたばっかだってのに忘れるなよ。…まあいい、予備あるから取りに来い」 「ほら、いいって!」 「お前の耳は飾りか?取りに来いっつってんだろーが」 「いいじゃない、見せてあげれば」 「何笑ってやがるてめえ…!」 「凜くんと密着…うふ、うふふ」 「何気持ち悪い笑い声出して……やめろバカ近づくんじゃねえ!」 結局凜が折れた。
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