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『蛙』 湿った朝の靄の下 小舟の上で目を覚ます 海なのか河なのか湖なのか はたまた池か水溜まり 嗄れた声が響いてて 水面は時折揺らめいて 僕は井の中 塀の中 春雷 襲来 通り雨 付き纏う春時雨 溺れる前にと漕ぎ出して 自分の世界の狭さに気付く 壁に突き当たったら外へ飛ぼうか それとも此処で夜を待とうか 何時かの夢の残光が 進めと背中を押している 飛べるはずだと笑ってる 嗄れた声も聞き慣れて 跳ね返る音の近さに 僕は
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