排煙

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『排煙』 いつも何処か焦げ臭い 山の向こうに煙が見えて いつの間にやら溶けていく 爪で付けた印ちりちりと 内側で燃ゆるゆらゆらと 歩くより走るより 泳ぐように君を探した 溺れそうに君を探した 雨が近い 濡れた空気に肌が粟立つ 消すには早いよ まだもう少しだけ待ってくれ 鮮やかな光 煌々と 対比のような僕の日常 流れ出る煙は止め処なく 冷たく肺を染めていく 今吸い込んだ空気にも 欠片になった君がいる 僕はとっくに気付いてたんだ ただ飲み込めずにいるだけで 僕は最初から解ってた いつも何処か焦げ臭い 記憶の中に君がいること
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