馬鹿

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『馬鹿』 胸を切り開いて取り出して 暴き出したものに名前をつけた 滞ってた水の流れが まるで思い出したように速くなる 暗く淀んだ河のように 何もかも飲み込んで何年も 忘れ去られた日を僕だけが抱えてた  一人だけ馬鹿みたい みたいじゃなくて僕は馬鹿だ 深く抉って僕を遺す そんな方法しか知らなくて 君を傷付けてやりたくなった 変われなきゃ繰り返す 変われないから繰り返す こんな自分が恐ろしいから また飲み込んで 暗く淀んだ河の中 一人だけ馬鹿みたい それでも僕は傷付けないから 馬鹿な自分が嫌いじゃないよ 馬鹿なだけなら嫌いじゃないよ  傷が付くのは僕だけだ
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