第4章~私の存在意義~

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下を向いて長ネギを切っていた。 あー、長ネギも辛い奴は涙出るんだね。 かっらー…。 そんな事を思ってると、 『俺、代わりますよ。』 「い、井野くん…。」 『こっちが呼んだんだからやらないと。近藤さんはあっちで美咲と話しでもしててください。』 えっ…? 井野くんは私の手から包丁を取り上げると続きを手際よく準備してくれた。 そんな姿に見惚れた。 …ううん。 その優しさが嬉しかった。 美咲ちゃんではなく、私に優しくしてくれた事。 ただそれだけで嬉しかった。 「ありがと…。」 そう言って美咲ちゃんの方に行こうとしたけれど、正直美咲ちゃんと話すことなど何もない。 それどころか美咲ちゃんは私の事を睨んでいる…。 そりゃそうか。 自分の彼氏が他の女に優しくしてるとこなんて見たくはないもの。 『近藤さーん、ごめんなさいね?真人、あたしも手伝う~!』 そう言ってキッチンへ入っていった。
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