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『ねぇ、どういうこと。』
その言葉は私に向けてなのか井野くんに向けてなのか分からなかったが口の中の物をとにかく飲み込まなくてはと、必死に飲み込んだ。
『なんとか言いなさいよ!!』
バンッと机を叩いて立ち上がると私を見下ろすように言った。
『あんた何考えてんの?おばさんの癖に…。
私に勝てるとか思ってんの?』
「あの…美咲ちゃん?」
『気安く名前呼ばないでよ!』
『美咲…。』
『真人…こんなおばさんと寝たの!?』
『違うんだよ、美咲。ちょっと落ち着けって…。』
『嫌!出てってよ!!』
そう言って美咲ちゃんは近くにあったクッションを私に向かって投げた。
「……。」
何も言えずに井野くんを見ると帰っていいと言わんばかりにうんうんと頷いた。
しかし美咲ちゃんはそれを見て更に怒りが増したようだ。
『何よ!あんた達!!目で合図なんて取り合って!さっさと消えてよ!!!』
それを聞いて私は下を向いたまま鞄を持って美咲ちゃんのアパートから出た。
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