想いを告げる

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「…それから、手を繋いだ理由は…繋ぎたくなったからなんだよな」 そんなの…理由にならないじゃない。 「…拓実の手が冷たいから?私の手が暖かいから?だから、繋ぎたくなったの?」 …単に、暖をとるための行動なの? 「まぁ、それもないとは言えない」 そうじゃないよ、そう言って欲しかった。 「私はほっかいろじゃない!!」 怒ったはずの私に… なぜか目の前の拓実が笑う。 「な、なんで、笑うのよ!!」 こらえながらも笑い続ける拓実。 「いや、ごめん…昔も同じこと、言われたなぁと思って」 …同じこと? なんで、手を繋ぐの?って? それとも… 「私はほっかいろじゃない!!って昔も言われた」 …正直、覚えがない。 けど、言ったかもしれない。 昔から、拓実の手は冷たくて。 昔から、私の手は暖かいから。
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