想いを告げる

7/10
前へ
/220ページ
次へ
「…本当にかわってないな、円香は、昔から何も」 拓実は、嬉しそうにそう言うけど。 …それが、褒められてるのかどうか私にはいまいちわからない。 だって、裏を返せば、成長してないってことになるじゃない? 「…安心するんだ、円香といると」 …これは、褒められてる? …喜んでいいんだよね? 「円香の手あったかいから…安心する」 …あ。 「昔も、そう言ってくれたよね、拓実」 思い出した。 昔もこんな会話があったこと。 高校2年生の冬だったかな。 拓実が手を繋いで。 私に言ったんだ。 …円香の手は暖かくていいなって。 私は嬉しかったけど、どう返していいかわからなくて。 …私はほっかいろじゃない!! 素直になれず、そう言った。 そんな私に拓実が言ったのが、今と同じ言葉。 …円香の手は、暖かくて安心するって。
/220ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加