想いを告げる

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「…今年の初めの忙しさが終わって、春になったら。俺からちゃんと伝えるつもりだったんだ」 帰りの車の中、拓実にそう言われた。 …あの時の、好きな人、が私のことなんて思いもしなかった。 芝田さんだって思い込んでたし…。 「まさか、円香から電話がかかってくるなんて、思いもしなかった」 …だって、あんな気持ちのまま正月をむかえるなんて嫌だったんだもん。 「…昔からそうだよ、円香は。やっぱりかわってない」 そう言ってまた笑う拓実。 「えー、何がそんなにかわってないの?私だって成長してると思うんだけど」 今日だけでも、拓実に何度もかわってないと言われた。 「ん?まぁ、そのうち話すよ。あ、年があけたら、初詣、一緒に行こうか」 …なんだか話をそらされた気がするけど。 まぁ、いいか。 「うん。久しぶりだねー、拓実と一緒に初詣行くの」
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