不意をつく人

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side:秋島 拓実 彼女は、いつもいつも不意をつくんだ。 再び彼女となってくれた円香を、送り届けたあと。 俺は少しニヤケながらも、昔のことを思い出していた。 小学生の頃。 彼女の存在は知っていたけど、特に興味はなかった。 だけど、中学生になって。 1年生は違うクラスだったけど、2年生で同じクラスになった俺は、彼女に惹かれはじめた。 見た目はいたって普通の彼女。 彼女より可愛い女の子は、いくらでもいた気がする。 だけど、何事にも真っ直ぐで一生懸命で。 そんな彼女に、俺は惹かれた。 その頃には、気付いていたこと。 俺は女の子にモテる。 小学生の頃からそんな感じはしていたけれど。 中学生になって、それは確信になった。 先輩や後輩、同級生に何度か告白もされた。 だけど、悲しいことに。 どうやら、彼女は俺に興味をもってくれてはいなかった。
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