不意をつく人

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彼女との初めての付き合いはとても楽しかった。 いつでもいっぱいいっぱいで一生懸命だった俺。 だけど、円香にはかっこ悪いところを見せたくなくて、必死でかっこつけていた。 きっと、付き合ってから別れるまでの間。 俺の好きの方が、円香の好きよりずっと大きかったと思う。 だから、円香が一緒の高校に行きたいと言ってくれたときは嬉しかったし。 そのために頑張ってる円香を、前よりももっともっと好きになった。 何事にも真っ直ぐで一生懸命な円香。 勉強にだってそれは同じで。 先生にも両親にも心配されていた円香だったけど、見事俺と同じ高校に合格を決めた日。 …俺たちはまさか別れることになるなんて思いもしなかった。 聖子はただの友達。 嘘なんかじゃなかった。 だけど、悲しそうな円香の瞳をそれ以上見ていられなくて。 …最後までかっこつけた俺は、円香と別れた。
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