積み木

不意をつく人

高校生になって、クラスも別れて。

円香に会うことは、ほとんどなくなって。

…それでも、俺は円香を忘れることはできなかった。

女々しいやつ、自分でもそう思ったけど。

だけど、初恋は円香で、初めて付き合ったのも円香で。

俺は円香以外の人を好きになる方法がわからないのだった。

「円香ちゃんのことまだ好きなんでしょ？とっととよりもどしなよ」

そんな俺に容赦なくそう言い放つのは、聖子。

「だいたいかっこばっかつけてるから、こんなことになるんだよ」

…わかってる、聖子なりに心配してくれてるんだって。

自分のせいで俺らが別れたんじゃないかって、思ってるって。

「…俺は振られたんだよ？それに、円香と話すことももうないし」

聖子のせいで別れたわけじゃない。

きっと聖子はきっかけにすぎなくて。

…俺がかっこばっかつけてたからなのかな。