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もしもこの世にキミと僕しかいなかったら、僕はこんなにふらふらと迷うことはなかったのに。
こればかりはどうしようもない。
男の性、なんて狡い言葉で誤魔化したくはないけれど。
だって彼女はキミよりもずっと甘え上手の淋しがり屋で、何より手放しで僕が好きだと全身で訴えてくる。
僕の太腿に跨って胸板に頬ずりして、引き剥がそうとすると切なげな目で見つめてくるんだ。
首筋に舌を這わせて、耳にかかる吐息は熱く、その息はともすれば苦しそうにも感じられるほどあがっていて。
もう少しも我慢出来ないと切羽詰まったみたいに、僕を必死で求めてくる。
キミがそこまで強い女ではないと僕は知っているのに。
本当はこんなの目の前で見せられて、耐えられないに違いないと、頭では分かっているのに。
僕のツボを心得た彼女が、巧みにそこを刺激しながら誘惑するんだ。
『ねえアナタ、本当は私が可愛くてしょうがないんでしょ? 抱きしめて全身を撫でまわして、今すぐ思いきり可愛がりたいんでしょ?』
その通りだ。
だって彼女は、僕が世界で二番目に好きな女なんだから。
『いいのよ、好きにして』
この誘惑に、抗えるわけがない。
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