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「はぁ~…なんか良いことないかなぁ…」
いつものお決まりのセリフを吐き溜め息をつく。趣味や好きな事もあまりなく、頭の中はいつも仕事か勉強の事ばかり。
「そりゃこんな事ばっかり考えてるんじゃ溜め息もつ──」
そう独り言を言いかけた時。
さっきまで晴れていた空が黒い雲にたちまち覆われた。カラスが何匹も慌ただしく鳴きながら飛び交っている。しまいには黒猫が道を横断し、畑へ逃げて行った。
「……何なのこれ」
何か不吉な事が起こるに違いない。
そう思わせるように、思い込ませるように履いていた靴の紐も切れていた…。
駐車場に車を止め、マンションへ入っていく。不吉さを物語るようにエレベーターの電気が点滅している。だんだん鳥肌がたって…恐怖を感じる。家の前に立つと空が光りすごい音がした。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!
早る気持ちを抑えながらゆっくり玄関のドアを開けるとそこに…………。
男
「…おかえりなさい」
赤い目に鋭いキバ。長めの耳に色白の肌。黒髪の天然パーマに…低い身長の…男が居た。男は真っ黒服に長いマントを引きずりながらこちらへ歩いてくる。
うちの家には女しかいない。なのに男がうちの玄関で「おかえりなさい」なんて言っている。
「……どちら様?」
私は睨み付けながら答えた。携帯を隠し持ちながら1・1・0と押す。
男
「あ。言い忘れていましたが警察に電話をしても無駄ですよ」
(何言ってるの…コイツ…!)
自分がしようとした事が詠まれている。焦りと不安が顔に出ないように気を付けながら答える。
「質問に答えなさい。…あなたは一体なんなの?」
男
「何と言われましてもねぇ……吸血鬼……でしょうか?」
すっとぼけの顔で首を傾げながら答える。
「はぁ?」
ヤバイ。頭おかしい。薬物でも飲んでいるのだろうか…。それならなおの事警察に…
妹
「おねえちゃん?独りで何ブツブツ言ってるの?早く入りなよ」
妹が男の身体をすり抜けて出てきた。
「ちょ…!あかり!(妹)大丈夫!?」
あかり
「何が?」
「いや…っ…その…」
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