第1章─記憶─

5/6
前へ
/6ページ
次へ
「吸血鬼って…血しか飲まないの?」 …どうしてこんな事聞いてしまったのだろう。 コイツが全然吸血鬼っぽくないからだろうか… 口調といい、態度といい全然威圧感がない。 けど、吸血鬼だ。こんな風に人間を安心させる 手口かもしれない。…そんな風に思うと危機感を 覚え身構えた。 吸血鬼 「いいえ、私は特別で人間が飲む物は飲めます。」 「………そう」 …とりあえずよかった。けど油断は出来ない。 吸血鬼 「…珈琲…お願いします。」 「………はいはい。砂糖とミルクは?」 我ながら親切過ぎる。不法侵入者に…砂糖と ミルクの加減を聞くか普通…。 吸血鬼 「砂糖とミルク……」 そう呟くと吸血鬼は立ち上がり、出て 行こうとする。 「ちょ!どこ行くの!?」 吸血鬼 「台所って…どこですか?」 「行って何するの?」 吸血鬼 「珈琲を入れてくれるんじゃないんですか?」 「入れるけど!なんであんたが行かないと いけないの?」 吸血鬼 「砂糖とミルクの加減は自分でやりたいので…。」 …………………はぁ。どこまでも図々しいやつ…(-""-;) 「わかった、わかった。もうついてくれば いいでしょ。」 そして何故か吸血鬼を台所に案内し、珈琲と 砂糖、ミルクを準備する。吸血鬼はジーっと 珈琲を見つめる。 吸血鬼 「粉末の珈琲って存在するんですね。」 「はいはい、存在するんです。どんな豪邸に 住んでたか知らないけど、家にはこれしか ないから。」 だんだんこの吸血鬼の嫌味にも慣れてくる。 いちいちイライラしてたらキリがない…。 吸血鬼は珈琲はスプーン一杯。ミルクは スプーン三杯。砂糖はスプーン五杯入れて 混ぜていた。 「……いやいや。ほとんど砂糖とミルクじゃん! 珈琲じゃないよそれ…。」 吸血鬼 「…そうですか?美味しいですよ。」 そう言って美味しそうに飲む吸血鬼。私が部屋に 戻ってから飲んで!と怒り、吸血鬼は両手で コップを持ちながら部屋に戻った。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加