第3章 障子の向こう

2/5
前へ
/5ページ
次へ
最近、変な影が障子に映りこんでくる。 最初は疲れているからだと思った。社会人になり、最近忙しくなった。あれこれと動き回り、書類を片付ける。 学生の頃とは全く違う毎日に戸惑う一方、それに期待する自分もいる。 話がそれた、変な影が見えるという話だ。そう、変な影が見えるのだ。それも月の晩に。 僕は実家暮らしをしている。家はそれなりに古く、部屋は和室だ。さらにその前には庭のようなものがあり、ぼうぼうと草がはえている。 その庭の方向に窓があり、障子もあるのだがその方向から太陽も月も良く見える。 日が当たれば暖かく、月の明かりは時に幻想的な光を部屋に呼び込む。僕はこの部屋をかなり気に入っていた。 しかし1つだけ、困ったことがあった。夜、月の明かりで障子に映る影である。 もろに明かりが入ってくるので、影が障子に映るのだがそれが不気味な姿に見えることが多い。 子供の頃はそれがまるで化け物のように見え、よく怯えて眠れなかった頃があった。 しかし今は影だと分かり、ぐっすりと眠りについている。 しかし、最近それとは違う影が見えるようになったのだ。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加