第3章 障子の向こう

3/5
前へ
/5ページ
次へ
それはいつも満月の夜に現れる。 皆が寝静まった真夜中、僕は何故か同じ時刻に起きてしまうのだ。どれだけ寝るのが早くても、逆に数分前でも起きてしまう。 そしてふと障子を見ると、……何かいる。障子の向こうの影が蠢き、その存在を知らせる。 最初は見間違いだと思った。何か物がそう見えるだけだろうと。しかしあそこには何も置いていない、その代わりぼうぼうと背の少し高い草がある程度なのだ。 しかしその草にしては輪郭がはっきりとしすぎている。さらに細かい指の動きなどもくっきり出ているのは明らかに何かいる証拠だ。 その上、それを見ると僕の体は固まってしまう。さっさと障子を開けて正体を確認すればよいのに、何故か開けることができない。 ……まさか、こいつは何か妖怪や宇宙人、そんな類いなのではないのか? 親にも相談してみたが、見間違いだろうと一蹴されてしまった。 こうなったらカメラで直接録ってやろう、正体さえ掴めれば、それでいいのだから。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加