第1章

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祖母は優しくて穏やかで、でも中身は少女みたいな人だった。 花とか色とりどりのお菓子とか、そういう可愛い物が好きで、 イギリス人らしいセンスの良いものに取り囲まれていた。 小さな頃は結構おばあちゃん子だったけど、 大人になるにつれてだんだんと疎遠になっていった。 だから亡くなったと聞いたときには、もちろん悲しいという気持ちはあったけれど、急すぎて実感が湧かなかった。 母から手紙を渡されたのは、葬儀が終わってしばらくしてからだった。 「これ、おばあちゃんからあなた宛の手紙」 「え? おばあちゃんからわたし宛?」 「そう、遺品整理をしていたら出てきたの」  なんだろうと思いつつ封を開けると、中から出てきたのは一枚の写真だった。
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