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謎の曲を夫が口ずさむ。作詞作曲が夫のその曲は、笑っちゃうくらいにしょうもない歌詞とリズムなんだけど、月明かりをスポットライトに海で踊ることはとてもロマンチックだった。気がつけばだんだんと潮が満ち、私たちの腰がつかるくらいまで海水は上昇していた。
「寒くなってきたね。そろそろやめてお風呂に入ろうか。」
小学生くらいのころから、授業でプールに入った後にお風呂に入って体をすぐ温められたらなんて幸せなんだろう。と思っていたけれど、今日めでたくそのささやかな夢はかなった。温かいバスタブから二人で海を眺めていると、幸せという言葉が何度も口から出てきた。私たちってやっぱり日本人だってこうゆうとき実感するよね。お風呂って良いね?なんて言い合う。
お風呂から上がり、三階の寝室でベットに寝転ぶと、ガラスの天井には満点の星空が広がっていた。
「ここを選んだ理由は、グランピングがしたいってゆーのもあったんだけど、星空を眺めながら眠るってすごいなって思って、実はそれでここに泊まろうって決めたんだ。」
上を向いたまま夫はそう答えた。
星空を眺めながら眠るなんて、考えたこともなかった。でも、私は今夫と二人でこの星空を眺めている。なんて贅沢な夜だろう。朝から夜まで、一日がキラキラと輝いて楽しくて嬉しくて私はもう爆発しちゃいそうだ。何度も流れ星を見つけて、星のランプのもと、私たちは眠った。
ハワイ3日目 【離島&サンドバー&オアフ島】
この日の朝は早かった。なんせまだ暗い。先に起きた夫に急かされ、着替えをすませて朝食も食べないまま、昨日船が着いた場所へ戻る。昨日とは違う中型船に乗り、これまた昨日とは違うルートで船は進む。しばらく進むと、船は海の真ん中で停まった。
「よし、急いで支度をしよう!」
夫がそう言うと、船の中から運転手とスタッフが手際よくテーブル、イス、クロス、お皿、グラスなどを運び始める。…どこに?彼らは船の先端までずんずんと進んでいく。
「あぁ、それ以上進むと落ちちゃう!!」
私は悲鳴を上げた。…が、彼らはそのまま船から降り、水上を歩いた。
ぎょっとする私の横で夫が口を開いた。
「サンドバーだよ。別名天国の海とも呼ばれてる。引き潮の間だけ海の真ん中に姿を現す幻の砂州なんだよ。今日はここで朝ごはんを食べよう。」
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