京の都

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「何をしておる」 「あ、いえ」  このとき、室町風の礼法・形式が邪魔をした。  何事も形式張り、物事がすっと流れないのだ。このことでも『入れ』と言われたら直ぐに座敷に入ることができれば良いのだが、それは高位の者を相手にする時は礼を欠く行為でもあるのだ。 まずは遠慮するかのようにもじもじと入り口で恐れいらねばならない。  これは新九郎も一族に入る伊勢家のせいでもある。
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