京の都

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「よいわ。作法は御所や宮中、他家に赴いた時のみ用いれば良い」  太郎は床を目の前に見ながら再び頭を深く垂れた。 「なれば御無礼仕る」  言い終わると、すっと立ち上がった太郎は袴の両ひざを摘まみながら新九郎の前までつつと寄って行った。 「太郎」 「はっ」  再び平伏して袖をさっと払った太郎に新九郎が体の正面を向けた。 「聞くが、父上の御用とは茶ではあるまい。今出川様のことではあるまいか」
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