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「旅支度のご用意が整いましてございます」
大道寺太郎からそう言われたのは翌々日の事であった。
江戸時代のように大名行列のような大人数で上洛する訳ではなかったが、この時代どこにも関所がある。うっかりと進んで行けば大名とて怪しまれ、身ぐるみを剥がれるまでならまだ良いが、稀に命を落とす事もあるのだ。
先ずは先触れとして京までの各関所に使いを出していたために出立までに二日を要したに過ぎない。
「苦労、ならば参ろうか」
旅装束を整えていた新九郎は実の父に会いに行く為だけに上洛するのだ。案外な軽装である。同行する家臣達も同じ様な装束をさせていた。
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