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さて、屋敷の一隅に設けられた茶室に通された新九郎、静かに着座した。
亭主に盛定が座るのだが、予てからここに呼ぶつもりだったのだろう、既に小姓が準備していたと思われる赤々と燃えた炭の上で茶釜が湯のはじける音をきんきんとたてていた。
ふわりとした所作で茶の支度を始めた父を、新九郎は一服の絵や書を楽しむように眺めている。
しばらくすると、芳しい香りが辺りに広がり新九郎の鼻をくすぐった。
「これは、良き香りでございます」
「うむ」
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