京の都

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 男はゆっくりと目を開け、朝の光に溢れた褥(しとね)の中で思考をめぐらした。 「ほんに、おかしな夢を見たものよ」  むっくりと床から起き上がり、身支度を始めながらも同時に夢解きを始めている。 「この夢にはどんな意味があるのやら」  独り言を呟きながらも、それをじっくり楽しむように吟味していると、日の差し込む障子の向こうから足音が聞こえて来た。  今は辰の刻限、何時もの日課である馬責めを知らせる為に家臣の誰かが起しに来たようだ。仕切られた障子を挟んで声がかかった。 「殿、お目覚めにございましょうや」 「うむ、起きておる」 「褥を片づけましょう。侍女を呼びまする」 「たのむ」
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