京の都

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 太郎が新九郎の前から去って一刻ほど過ぎた頃、書院で書物を読んでいる新九郎の前に再び太郎が現れた。 「太郎めにございます。参上仕りまいた」  新九郎はふと視線をあげ、手元に開いた書物に栞を入れてぱたりと閉じた。 「太郎か。入って参れ」  新九郎が端坐する書院畳敷きの間は、濡れ縁に面した二方向の障子が開かれている。その濡れ縁に座る太郎の姿が良く見えた。 「ならば」  にじりながら体を座敷に入れて来た太郎、少し膝が入った所で止まり、頭を垂れた。
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