第1章

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僕らは出会って12年、二十歳から付き合い出した。二人とも、同じ施設で育った。 僕は産まれてすぐ両親に捨てられ、施設へ預けられた。ゆうとと出会ったのは、小学三年生の時。今でも鮮明に覚えている。 僕は施設の壁にサッカーボールを蹴って、1人で遊んでいた。僕と同い年の子はいなく、友達も出来なかった。1人には慣れていたから、寂しいとか、そういうのはこれっぽっちもなかった。 「…あのっ…!」 「うわっ…」 突然腕を掴まれ、思わず声が出た。僕の腕を掴んでいたのは、僕と同じかちょっと上くらいの男の子だった。顔には傷や痣があり、服は泥で汚れ、そして裸足だった。そう、この子がゆうとだった。 「…助けてっ…」 彼は泣きながら僕にしがみついた。子供ながらにこれはまずいと思い、すぐに彼を連れて施設の中へ入った。
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