第1章

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「ごめんね、いつもこんなんで」 仕事の終わりが遅いせいで、夜はどうしても買い弁になってしまっていた。しかもゆうとは朝も昼も食べない日が多い。栄養が十分に取れないことが一番心配だった。 「…ううん…ゆうりとご飯食べれるだけで…俺、嬉しいから…」 ふにゃんと笑ったゆうとは、そう言ってご飯を口に運んだ。 時々お酒を飲んで暴れたりする人がいるけど、ゆうとはそんなことは一度もなかった。本当にただ、嫌な記憶を消したいがためだけに飲んでいた。 「…ごちそうさま…これ、明日食べるね…?」 「大丈夫。気にしないで」 ゆうとはご飯を残すと必ずそう言う。せっかく買って来てもらったのに悪いから、なんて。 「これ、薬ね」 ご飯を捨て、ゆうとに薬を渡すと小さく頷いてそれを飲んだ。
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