恋をバックパックに詰めて

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振り返ると、一人の男がはにかむように立っていた。 細身ながら筋肉質で、日に焼けた体がその精悍さを一層際立てる。 大きめのくっきりした目は一瞬タイの人かと見間違うばかり。 私はその、カオサンの喧噪には似つかわしくない姿に少しの間言葉を失っていた。 「あ・・すいません!ただおいしいご飯とか沢山あるのにちょっともったいないかなって・・」 「あの・・私今日きたばかりで・・」 いきなり現地食を食べるよりも、まずは慣れた食べ物から徐々にならしていこうと思っていた私は、少し恥ずかしい気持ちになった。 冒険しようって思っていたのに・・ 「・・なにかおすすめってありますか?よかったら食べてみたいです。」 普段の私なら絶対に言えない言葉。積極的な自分になっているのに驚いた、これが旅の効果なんだろうか。
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