第1章・失恋

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私の脳裏に悠斗の冷たい言葉がよみがえる。 『それなら別れよう。もうオマエとは無理だ』 数時間前、アパートの部屋で悠斗と口論になった。 悠斗とは五年間ほど同棲していた。 だが五年間のうち、幸せに酔っていられたのはわずか数ヶ月で、残りの四年以上は切なさと葛藤の連続だった。 ミュージシャン志望の悠斗はいつもお金がなかった。 二十代後半になってもまともに働こうとせず、金銭面では私が支えている生活。 それでも別れられなかった。 別れたくなかった。
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