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私の脳裏に悠斗の冷たい言葉がよみがえる。
『それなら別れよう。もうオマエとは無理だ』
数時間前、アパートの部屋で悠斗と口論になった。
悠斗とは五年間ほど同棲していた。
だが五年間のうち、幸せに酔っていられたのはわずか数ヶ月で、残りの四年以上は切なさと葛藤の連続だった。
ミュージシャン志望の悠斗はいつもお金がなかった。
二十代後半になってもまともに働こうとせず、金銭面では私が支えている生活。
それでも別れられなかった。
別れたくなかった。
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