プロローグ

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携帯電話の画面に表示された名前を見た時、すぐにはピンと来なかった。 宮本聡史(みやもと・さとし)。 大学時代の友人。 約五年の月日が経っているとはいえ、当時はとても親しかった仲間の一人。 だけど今の私には異国の人のように感じられた。 聡史に限らず当時の友人知人は、みんな遠い存在になってしまった。 あの頃の自分と今の自分は別世界にいるから……。 肌寒い夕暮れ時の街を歩いていた私は、半ばぼんやりしたまま通話ボタンを押した。
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