プロローグ

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「私もそっちに行こうかな……」 思わず口にして自分でもびっくりした。 聡史も驚いた声で聞き返す。 「えっ? 行くって?」 「仙台に行こうかなって」 「うん、来てよ! いつ来る? 樹も喜ぶよ」 興奮したように叫ぶ聡史の声を耳にしながら、やっぱり今の自分には遠いことだと感じた。 瑠璃子の失踪を聞かされても、樹に会えると分かっても、まだ私の心は悠斗でいっぱいだったから。 悠斗への未練がずっしりと残っているのだ――。
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