~父の名代~

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「柚羽(ゆう)~?部屋にいる~?」 トントントン、と勝手知ったる足取りで階段をあがる女の子。 2階の廊下をずっと進み、突き当りを曲がって、また真っ直ぐ行って…。 お目当ての部屋を見つけ、ノックを素早く4回する。 「柚羽?いる?返事ないけど、入るよ?」 ドアを開けて室内に入るが誰もいない。 「またあの子(柚羽)はPCの前にかじりついてるわけね」 苦笑すると奥にある次の間のドアを開け、更にその奥のドアを開けた。 中を覗くと長机に向かっている、部屋の主がいた。 案の定、PCの前に座って何か文を打っている音がしている。 「ちょっと~、柚羽?親友が来たんだから、声ぐらい聞かせなさいよね」 「え~?誰も来なかったけど?」 柚羽はそこでやっと、座っている気持ちよさそうな椅子をくるっと回し、 突然来た親友を見た。 「インターホン鳴らしたよ」 柚羽は笑う。 「あ~、だから私の部屋へはインターホン1回じゃダメだって言ってるじゃん。  この部屋のドアのところのも鳴らしてっていつも言ってるのに~」 「あ、そっか~。じゃ、今度ね~」 「はいはい」 「で、柚羽は何をしてたの?PCの画面を見る限りでは、また何か書いてるんでしょ。今度はどんなの書いてんの?ね、ね、ハンサム出る?」 「え~?なんでわかるのよ」 「そりゃ親友だもん!それに柚羽はハンサム大好きじゃ~ん」 「そういう自分だって、好きなくせに」 「まぁね~。ふふっ。そういえばね、今やってるドラマの俳優でね~」 ******************************** 夕方、柚羽は親友を門まで送ると、すぐPCの自室へと舞い戻った。
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