55人が本棚に入れています
本棚に追加
「で…そのトウキョウって村に」
「東京はせめて街って言ってよ。すごくたくさんの人が住んでて、おっきな建物のたくさんある、大きな街なんだから。」
そんなに大きな街、やはり王都クロウェルドしか俺には心当たりが無い。
いや、むこうの大陸にある国の首都、メラーテルもかなり大きな街だった。
メラーテルから来たのか?
「海を渡ってきたのか?」
「わかんない。公園のマンホールにつまづいて、あ、転ぶ!って思ったらあの森にいたんだもん。」
さりげなく上目遣いでこっちを見るのをやめてほしい。
もしかすると、文献で見た《異世界》ってヤツかもしれない。
それとも異国から来た大嘘つき…って可能性も捨てきれない。
「その、トウキョウではモンスターは出ないの?」
「ねぇ、モンスターってなんで消えるの?」
俺は肩をすくめた。
「そういうものだから、かな。」
「ねぇ、モンスターって何?この世界には普通の動物はいないの?」
おかしな質問だと思って俺は笑う。
「モンスターはモンスターだし、普通の動物は普通の動物だよ。」
うららちゃんは納得がいっていないようだった。
「うららちゃん、この辺で今夜は休もうか。」
「野原じゃん!」
最初のコメントを投稿しよう!