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「うーん……」
俺は少し困っていた。
森の入り口に、変わった服装の女の子がいるのは気づいてたんだけど、まさかこんな奥まで来るとは思わなかった。
「森の中に置いてきぼりにするわけにいかないしなぁ……」
小柄でけっこう整った顔立ちの少女だ。
「よっ」
……思ってたより、重い。
今のはなかった事にしようそうしよう。
女の子の身体にむやみやたらと触っちゃいけないって死んだじーちゃんは言ってなかったけど、きっと良くない!
辺りを見回す。
この辺は強いモンスターが出てくる。
別に俺はなんともなくっても、この子は危険だな…。
ゆさゆさと揺すってみる。
「おーい……。おーい、おきろーー?」
「ん……」
ぷるんとした唇が色っぽいとか思ってないから。
「おきろーー?ここは危ないぞー?」
がばり、と彼女は飛び上がるように立ち上がった。
激しくキョロキョロと辺りを見回す。
「今は大丈夫みたいだけど」
あからさまにホッとした顔。
「ね、キミ、変わった服装だね。どこから来たの?」
「アナタ!たぶん勇者的なヒトね?お願い助けて!ここはどこなの?安全な場所はあるの?」
俺の両腕を掴んでわめきたてる。
黙っていれば可愛いってタイプだ。うん。
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