第七話

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自分の胸に手を当て、渚の背をまっすぐと見据える。 「今は消し方がわからない。わからないから渚とは居られない。渚が好きだから…本当に幸せになって欲しいから…俺が傷つけるのは耐えられないから…」 俺は、幸せにはしてやれない。 そのことに、やっと気づいたから。 「ズルいよ……櫻井くん……そんなこと言われたら何も言えないじゃない。そんな風に想われてるなんて知ったら…」 渚は唇を悔しそうに噛みしめた。 「ごめん。」 「私、…やっぱり振られちゃうんだね。」 「ごめん……」 俺は思わず渚を後ろから抱きしめた。 こうしていないと渚が壊れしまいそうで… 回した手に、暖かな雫が落ちる。 「櫻井くん、教えてあげる。」 渚の声は震えていた。 俺の頬にも静かに一筋の涙が流れた。 「櫻井くんがその子を忘れられないのは、気持ちを伝えてないからだよ。」 「もしいつか。その子に会えたら絶対に伝えて。」 「それでもし……想いが伝わらなかったら、その時は……」
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