第七話

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「櫻井さーん!」 名前を呼ばれ、我に返った。 今日は果夏の友人夫婦が赤ちゃんを連れて遊びに来る日だっけ。 それまで書斎でパソコンの画面を眺めていたら、少し長めの思い出に耽ってしまったらしい。 「望たち来たよー!」 「今行く。」 玄関から呼び掛ける果夏に、短く返事をして椅子から立ち上がる。 「おめでとう……」 そう言葉を投げかけたパソコンの画面には、件名のないメールに添付された一枚の画像。 映し出されていたのは、天使のような寝顔の赤ちゃんと、その小さな手に握られた三連リングのペンダント。 「……渚。」 俺は画面を閉じると、書斎の扉を開けた。 完 次ページ「エピローグ」
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