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「櫻井さーん!」
名前を呼ばれ、我に返った。
今日は果夏の友人夫婦が赤ちゃんを連れて遊びに来る日だっけ。
それまで書斎でパソコンの画面を眺めていたら、少し長めの思い出に耽ってしまったらしい。
「望たち来たよー!」
「今行く。」
玄関から呼び掛ける果夏に、短く返事をして椅子から立ち上がる。
「おめでとう……」
そう言葉を投げかけたパソコンの画面には、件名のないメールに添付された一枚の画像。
映し出されていたのは、天使のような寝顔の赤ちゃんと、その小さな手に握られた三連リングのペンダント。
「……渚。」
俺は画面を閉じると、書斎の扉を開けた。
完
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