第1章

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「修平……なんか、変わったね。背も伸びたし、筋肉もついた。ぼくなんか最後に会った155センチのままだもの」  ぼくは、じろじろ観察するように視線を上下させながらいった。  背は靴を履いて180センチといったところだろう。だとしたら、最後に会ってから、3センチは伸びているはずだ。少し細身だった体も、胸板はつき、腕も一回り太くなっている。きれいに剃った髭の跡も、昔に比べれば若干目立つ。 「ハハハ。むさくるしくなっちまって、がっかりしたろ?」  修平はその視線がむずがゆいといわんばかりに、肩をすぼませた。 「そんなことない。ぼく、すごく嬉しいよ。ほんとはずっと寂しかったんだ」 「そっか。けど、さやかも変わったよな」 「そう? どこらへんが?」  自分ではあまり思い当たるところがなかったので、ぼくはあてもなく視線をさまよわせながらきいてみた。 「いや、乳のサイズとか、尻の丸み具合とかさ」  修平は、さっきの感触を思い出すかのように、空中で何度も手を握った。 「……アハハ。やっぱり、ちょっとがっかりしたかも」 「なんだよ。少しくらいいいじゃんか。男同士みたいなもんだろ」 「ぼくが男だったとしても、同姓に触られるのなんてごめんだね。修平だって、男の友達に胸とかお尻とか揉まれたらいやだろ?」 「……まあ、嬉しくはないな」  と修平は、渋柿を歯で噛み潰したみたく顔を歪めた。 「じゃあ、もう止めてよ」 「わっーたよ。でも、きれいになったな。お世辞抜きで」 「フフ。それは月曜日にかぐやに会ったらいってあげてよ。きっと喜ぶと思うよ」 「あいつ、まだ俺のこと好きなの?」 「それも、月曜日になったらきいてみれば?」  ぼくはそれとなく質問をはぐらかすと、修平の隣に並んで歩き出した。  こんなふうに、自然に誰かの隣を歩けることなんて、ぼくにはもうないと思ってた。 でも、修平の隣にいると、ぼくは普通の人間と何も変わらないような気持ちになれる。たったそれだけの理由でも、ぼくらはみんな君の事が大好きなんだよ。そう、心の中で呟きながら。    2日目  水曜日 《……という流れで、昨日は修平と再会し、そのあと学食でサンドウィッチを食べて、果汁30%のグレープフルーツジュースを初めて飲んだ。(30%とあなどることなかれ、あれはけっこうおいしくて好きだ。安いし、みんなも飲んでみるといいよ)
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