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「修平……なんか、変わったね。背も伸びたし、筋肉もついた。ぼくなんか最後に会った155センチのままだもの」
ぼくは、じろじろ観察するように視線を上下させながらいった。
背は靴を履いて180センチといったところだろう。だとしたら、最後に会ってから、3センチは伸びているはずだ。少し細身だった体も、胸板はつき、腕も一回り太くなっている。きれいに剃った髭の跡も、昔に比べれば若干目立つ。
「ハハハ。むさくるしくなっちまって、がっかりしたろ?」
修平はその視線がむずがゆいといわんばかりに、肩をすぼませた。
「そんなことない。ぼく、すごく嬉しいよ。ほんとはずっと寂しかったんだ」
「そっか。けど、さやかも変わったよな」
「そう? どこらへんが?」
自分ではあまり思い当たるところがなかったので、ぼくはあてもなく視線をさまよわせながらきいてみた。
「いや、乳のサイズとか、尻の丸み具合とかさ」
修平は、さっきの感触を思い出すかのように、空中で何度も手を握った。
「……アハハ。やっぱり、ちょっとがっかりしたかも」
「なんだよ。少しくらいいいじゃんか。男同士みたいなもんだろ」
「ぼくが男だったとしても、同姓に触られるのなんてごめんだね。修平だって、男の友達に胸とかお尻とか揉まれたらいやだろ?」
「……まあ、嬉しくはないな」
と修平は、渋柿を歯で噛み潰したみたく顔を歪めた。
「じゃあ、もう止めてよ」
「わっーたよ。でも、きれいになったな。お世辞抜きで」
「フフ。それは月曜日にかぐやに会ったらいってあげてよ。きっと喜ぶと思うよ」
「あいつ、まだ俺のこと好きなの?」
「それも、月曜日になったらきいてみれば?」
ぼくはそれとなく質問をはぐらかすと、修平の隣に並んで歩き出した。
こんなふうに、自然に誰かの隣を歩けることなんて、ぼくにはもうないと思ってた。
でも、修平の隣にいると、ぼくは普通の人間と何も変わらないような気持ちになれる。たったそれだけの理由でも、ぼくらはみんな君の事が大好きなんだよ。そう、心の中で呟きながら。
2日目 水曜日
《……という流れで、昨日は修平と再会し、そのあと学食でサンドウィッチを食べて、果汁30%のグレープフルーツジュースを初めて飲んだ。(30%とあなどることなかれ、あれはけっこうおいしくて好きだ。安いし、みんなも飲んでみるといいよ)
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