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「どうせ、かぐやが朝から風呂入るしなぁ。夜洗っても無駄になると思ったんじゃない」
「なによ無駄って。最低1日2回水浴びするのは乙女の嗜みでしょ。そうじゃない?」
「ごもっともで」
と修ちゃんは事務的に頷きました。どうせ男にはわからない気持ちに決まってます。
「とにかく、今度遊に会ったら、きつくいっておいてね。せめて、シャワーくらいは浴びてから寝てって。あいつ、私が日記でいったくらいじゃきかないから」
「ん。ああ」
「ところで修ちゃん.私になにか謝らなきゃいけないことなぁい?」
「……さあ。思い当たらないけど。浮気した覚えはないし」
「ふうん。シラを切るつもりね。でも、無駄よ。ちゃんと証拠も持ってきたんですからね」
そういって、私は、鞄の中から、見るのもおぞましい小さくて黒い物体を、修ちゃんの手の中に渡しました。
「……参ったな。もう見つかったのか」
と修ちゃんは、観念したように空を仰ぎました。
「これって、コンセントタイプの盗聴器と、小型の盗撮カメラよね。起きたら机の上に置いてあったけど、どこに仕掛けたの?」
「かぐやが見つけたんじゃないのか?」
私のいい回しを疑問に思ったのか、修ちゃんは少し身を乗り出してきいてきました。
「違うわ。寝てる間にシャドウが見つけたんだと思う」
「そうか。2個だけ置いておけば、仕掛けがばれてることをアピールするには十分だってことか」
修ちゃんは、一人納得しながら、その機材を鞄の中にしまいました。
「全部でいくつ仕掛けたの?」
と私は続けて問い詰めました。修ちゃんの言葉をきくまでは、この2つだけだと思っていたのです。
「6個かな。部屋に3つ、あとは脱衣所に、キッチン、玄関」
「もうっ。信じられない。修ちゃんはいつからそんな変態さんになったの? 今となっては遊が昨日お風呂入らなくてよかったわ。ねぇ、こんなことしないで、私の裸が見たいなら素直にいえばいいじゃない。いくらでも見せてあげるのに」
「そりゃ、ありがたい提案だけど、別に俺だって好きでやってるわけじゃないよ」
「わかってるけどぉ。いくらシャドウを倒すためだからって、修ちゃんにはそういうことやって欲しくないのよ。修ちゃんはずっとかっこいいままじゃないとダメなの」
「ああ、もうやらないよ。というか、バレたから、やりたくてもできないしな」
修ちゃんは、諦めたように呟きました。ええ、わかればいいんです。
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